オフィスリートの現状を紹介
コロナ禍前は収益力の高いオフィスがリートの主流でした重点を置いていました。
コロナをきっかけにリモートワークが進み、大規模なフロアを欠けているオフィス離れがありました。
代表的なオフィスリートの業績を解説し、比較しました。
日本ビルファンド投資法人
ファンド情報
オフィス特化型
決算期 6月 12月
投資対象地域
東京23区 83% 都心5区 59%
東京都中心部を中心にテナントニーズを捉えた競争力のあるポートフォリオを構築
スポンサー 三井不動産
保有物件数 68物件
資産規模 1兆4728億 国内最大の資産規模のリート
稼働率 97%
格付け JCR AA+ R&I AA S&P A+
平均築年数 22.9年
主要テナント
三井不動産 42.8%
ソニーグループ 6.4%
日立リアルエステート 2.6%
指標判断
NAV倍率 0.97倍 割安
一口あたりNAV 605,560円
FFO倍率 39倍 割高
FFO 14889円
NOI利回り 3.9% 低い
賃貸NOI 287億
財務情報
有利子負債残高 5475億
固定金利比率 90.6%
平均残存年数 5.7年
調達金利 0.4%
LTV 42.9%
鑑定含み益 3,433億
決算情報
22年12月 | 23年6月 | 23年12月 | |
営業収益 | 473億 | 470億 | 454億 |
営業利益 | 215億 | 206億 | 187億 |
当期純利益 | 202億 | 193億 | 174億 |
23年6月
臨時的的不動産収入の減少 -4億(解約金、付帯収益)
売却益の剥落 -3億
不動産収入の増加 +3億
税金、修繕費、水道高熱の増加による費用が増加 +6億2千万
営業収益、当期純利益が減少
23年12月
不動産売却益の剥落 -18億
物件取得費用の増加 +3億
営業収益、当期純利益の減少
物件取得や賃料の増額をしていますが、物件を売却した収益が大きく上回っています。
稼働率優先のリーシング戦略により、NBFの稼働率は97%台へ回復
コロナ前は99%台で推移していた。
稼働率を優先的に向上させ、今後の賃貸収入拡大に備える
分配金情報
22年12月 | 23年6月 | 23年12月 | |
投資口価格 | 588,000円 | 566,000円 | 596,000円 |
分配金 | 11,500円 | 11,500円 | 11,500円 |
分配利回り | 1.9% | 2.0% | 1.9% |
内部留保及び譲渡益の活用により、1口当たり分配金の安定を図る。
当面の間、分配金は業績に関わらず1万1500円を出してくれます。
現在の内部留保残高 112億
ピーク時は136億あった。70億程度まで切り崩す余裕があります。
その間に業績を向上させる事ができるかが鍵となります。
現在の配当性向 101%
2021年6月期 90% リートは利益の9割を分配金としてだします。
100%を超えると利益以上に分配金を出していることとなります。
分析結果
プラス材料
JーREIT最大の規模があり業績の安定感がある。
取得総額 1兆
スポンサー力が強い
不動産大手、三井不動産
金利が0.44%と低い
→銀行から評価されている指標でもあります。
LTVが低く借金できる余力がある。
→不動産は増資と借金で物件を購入しているので、成長できる余力でもあると言えます。
4割以上三井不動産で物件を借りている。
→スポンサーが借りているのでこの分は、安定運用が見込めます。
分配金の下限設定をしている。
→当面の間となっていますが、これが外れた時投資口の下落になる可能性があります。
含み損益率が高い
物件売却時に収益の増加になり、分配金の増加になります。
1口あたりのNAV倍率が右肩上がり。
20年12月からNAV倍率が上昇傾向です。
20年 564,249円 23年 605,560円
ケネディクスオフィス投資法人
本投資法人が投資・運用対象とする中規模オフィスビルは、大規模オフィスビルに比べると物件数が非常に多く、売買価格・賃料水準とも手頃な水準にあることから、売買・賃貸どちらの観点からも流動性が高いこと、中小規模の法人も含めて非常に厚く幅広いテナント層が対象となることが特徴です。
ファンド情報
決算期 4月 10月
オフィス特化型
投資対象地域
首都圏 80% 地方経済圏 20%
東京経済圏の中規模オフィスビルを中心に投資
スポンサー ケネディクス
保有物件数 97物件
資産規模 4,533億円
稼働率 97.8%
格付け JCR AA
平均築年数 27年
指標判断
NAV倍率 0.83倍 割安
一口あたりNAV 403,000円
FFO倍率 32倍 割安
一口あたりFFO 10,200円
NOI利回り 4.8% 低い
財務情報
有利子負債残高 2149億
長期負債比率 99%
固定金利比率 97.5%
平均残存年数 3.7年
調達金利 0.82%
LTV 45%
鑑定含み益 1184億
主要テナント
三菱重工業株式会社 2.3%
WeWork 1.3%
ジャステック 1%
テナント数 1208社
大きい比率のテナントが無く、分散が図られています。
決算情報
22年10月 | 23年4月 | 23年10月 | |
営業収益 | 162億 | 172億 | 166億 |
営業利益 | 73億 | 81億 | 73億 |
当期純利益 | 64億 | 72億 | 64億 |
23年4月
不動産売却益 +9億
水道光熱費の費用増加 +1億
不動産売却益により当期純利益が増加
23年10月
不動産売却益の剥落により、22年10月と同水準になる良そう
マーケットやテナントニーズを踏まえた積極的なリーシングや、1棟借 りテナントが退去したビルの譲渡により稼働率は高水準を維持 • レントギャップが縮小する状況下においても、テナント入替及び賃料改定によ る月額賃料の増加を実現
月額 33万円の増額
2023年4月期はマーケットやテナントニーズを踏まえた積極的なリーシングや、1棟借りテナントが退去したビルの譲渡により稼働率は高水準を維持 • 2023年10月期は退去率が低下する見通しであり、引き続き機動的かつ柔軟なリーシング戦略により稼働率の維持向上に努める
分配金情報
22年10月 | 23年4月 | 23年10月 | |
投資口価格 | 327,000円 | 300,000円 | 335,500円 |
分配金 | 7,244円 | 7,647円 | 7,600円 |
分配利回り | 2.2% | 2.5% | 2.2% |
23年4月は、物件売却により、一時的に分配金が増加
投資口価格も底が終わった印象があり、投資口価格の上昇トレンドに乗るかもしれません。
プラス材料
分配利回りが4%以上と高い
分配金も2018年から6800円以上を出しており、コロナ禍でも安定した分配金を出していた。
物件ポートフォリオの含み益が右肩上がりに上昇している。
現在過去最高の1194億の含み益です。
中規模オフィスの需要が高い。
ケネディクス東京都心5区の稼働率が99.2%となっています。
全体では97%の稼働率があります。
いちごオフィスリート投資法人
いちごオフィス(いちごオフィスリート投資法人、証券コード:8975)は、安定的かつ収益成長が見込める中規模オフィスに特化したポートフォリオを構築し、戦略的バリューアップやきめ細かな物件管理を通して、持続的成長と分配金向上を目指します。
心築による、不動産のバリューアップを図る。
心築とは、いちごのノウハウを活用し、不動産の価値向上や創造、「100年不動産」の実現を目指す。
例
ビルの顔であるエントランスホールをリニューアル
独自の戦略的なリーシング手法である、いちごレイアウトオフィスを設置
ファンド情報
決算期 4月 10月
オフィス特化型
投資対象地域
都心6区 54% その他首都圏 22% 4大都市 18%
首都圏と都市部を中心に物件を保有
スポンサー いちご
保有物件数 88物件
資産規模 2,121億円
稼働率 96.5%
格付け A+(安定的)
平均築年数 30年
指標判断
NAV倍率 0.98倍 割安
一口あたりNAV 96,660円
FFO倍率 44倍 割高
一口あたりFFO 1,947円
NOI利回り 5.4%% 高い
NOI 55億
財務情報
有利子負債残高 1149億
固定金利比率 91%
平均残存年数 7年
調達金利 0.84%
LTV 48%
鑑定含み益 473億
テナント状況
製造業 2.5%
情報通信業 1.5%
サービス業 1.2%
テナント数 998社
決算情報
22年10月 | 23年4月 | 23年10月 | |
営業収益 | 78億 | 123億 | 82億 |
営業利益 | 37億 | 71億 | 37億 |
当期純利益 | 30億 | 63億 | 29億 |
23年4月
不動産売却益により、収益、利益とも大きく向上
23年10月
不動産売却益の剥落で22年10月の業績に
オフィス区画は堅調に推移、店舗・一部大型区画のリーシングは時間を要する
大型区画の解約により、一時的に月額賃料は減少
新規成約における賃料増額
新規成約の3分の2が賃料増額にて入替
分配金情報
22年10月 | 23年4月 | 23年10月 | |
投資口価格 | 84,800円 | 88,000円 | 87,100円 |
分配金 | 2,052円 | 4,224円 | 2,116円 |
分配利回り | 2.4% | 4.8% | 2.4% |
このリートは2,000前後の分配金を継続的に出しています。
23年4月は売却益により、分配金が大幅に増加しました。
メリット
指標判断では、NAV倍率、FFO倍率ともに割安水準である。
いちごグループによるバックアップがある。
心築による独自のバリューアップ戦略がある。
(ESG投資の観点からもバリューアップ戦略は評価されます)
格付けの評価が上がった。
マイナス材料
オフィス需要の今後の見通しが不透明である。
不動産価格は高止まりしており、購入しても高値掴みになる可能性がある。
オフィスリート比較
ファンド情報
ビルファンド | ケネディクス | いちご | |
資産規模 | 1兆4728億 | 4533億 | 2121億 |
LTV | 42.9% | 45% | 48% |
稼働率 | 97% | 97% | 96% |
含み益 | 3433億 | 1184億 | 473億 |
築年数 | 22年 | 27年 | 30年 |
指標判断
ビルファンド | ケネディクス | いちご | |
NAV | 0.97倍 | 97% | 0.98倍 |
FFO | 39倍 | 32倍 | 44倍 |
NOI | 3.9% | 4.8% | 5.4% |
業績情報
ビルファンド | ケネディクス | いちご | |
営業収益 | 454億 | 166億 | 82億 |
営業利益 | 187億 | 73億 | 37億 |
当期純利益 | 174億 | 64億 | 29億 |
分配金情報
ビルファンド | ケネディクス | いちご | |
投資口価格 | 588,000円 | 335,500円 | 87,100円 |
分配金 | 11,500円 | 7,600円 | 2116円 |
利回り | 1.9% | 2.2% | 2.4% |
オフィス動向
東京都心部のオフィスビル賃貸市場については、コロナ禍を契機とした必要なオフィス面積の見直しの動きが続く中、館内増床や立地改善のための前向きな移転が見られるなど、企業のオフィス機能再認識による需要回復の兆しも出てきました。一方で東京都心部のマーケット空室率は6%台で推移し減少傾向には至っていません
東京都心部の賃料も下落傾向となっています。
紹介した3つのリートに関しては、リーシングによる稼働率の上昇、賃料増額などを行っており、業績の堅調さが伺えます。