電気は現代社会において、欠かすことのできないインフラです。
電力株はディフェンシブ銘柄と呼ばれ景気に左右されにくい側面があります。
有名な電力株3選を比較と紹介をします。
東京電力 9501
対象エリア 関東全域を営業
電力小売事業や発電事業を行う日本最大の電力グループです。
過去に高配当、安定銘柄として人気な銘柄でしたが、福島第一原発の事故を受け、株価が暴落しました。
福島第一原発の事故の賠償金が10兆円を超えており、現在も支払いが続いています。
企業情報
総資産 12兆8535億
負債 9兆7994億
純資産 3兆2504億
自己資本比率 24%
時価総額 7264億
発行株数 16億701万7531株
利益剰余金 8372億9800万
有利子負債 9兆7994億
営業CF ▲1731億
現金 8405億
投資情報
出来高 2359万2400株
売買代金 100億7900万
約定回数 3678回
信用倍率 14.92倍
指標判断
PER なし
PBR 0.21倍
ROE ▲11%
ROA ▲2.4%
稼ぐ指標は赤字なのでマイナス判定です。
代表株主
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 49% 16億株
マスタートラスト 6% 2億1994万6千株
東京都 1.33% 4267万6千株
ニューヨークメロン 0.73% 2331万2千株 NEW
原子力発電所の廃炉費用と巨額の損害賠償を負担するため、原子力損害賠償支援機構が49%の株式を取得して実質的な国有化が行われました。
格付け
S&P BB+
ムーディーズ Baa3
R&I A-
JCR A
多くの格付け会社から評価されています。
業績情報
第二四半期 業績情報
2021年度Q1‐Q3 | 2022年度Q1‐Q3 | 前年増減 | |
売上 | 3兆5035億 | 5兆5126億 | +2兆91億 |
営業利益 | 880億 | ▲2736億 | ▲3616億 |
経常利益 | 722億 | ▲3538億 | ▲4260億 |
当期純利益 | 98億 | ▲6509億 | ▲6607 |
2022年前期
売上
燃料価格の高騰で燃料費調整額が増加したこと により増収
経常利益
JERA(燃料調達、発電会社)における燃料費調整制度の期ずれ影響が悪化したことや、 燃料・卸電力市場価格の高騰等による電気調達費用の増加など により減益
当期純利益
円安や石炭価格の上昇により、2022年前期は大幅な赤字となりました。
セグメント別経常利益
2021年度Q1から2 | 2022年度Q1から2 | 増減 | |
ホールディングス | 980億 | 868億 | ▲112億 |
パワーグリッド | 1066億 | 621億 | ▲445億 |
エナジーパートナー | 58億 | ▲2273億 | ▲2331億 |
リニューアブルパワー | 350億 | 434億 | 84億 |
調整額 | ▲1515億 | ▲1167億 | 348億 |
合計 | 1013億 | ▲2388億 | ▲3401億 |
ホールディングス
基幹事業会社からの受取配当金の減少により減益
パワーグリッド
託送収益で、エリア需要に よって変動
託送収益や電灯電力量は増加(725億)
燃料価格高騰影響による電気調達費用の増加などにより減益(▲1280億)
エナジーパートナー
電気料収入で、販売電力量に よって変動
販売電力は増加 (7790億)
燃料価格高騰影響による電気調達費用の増加などにより減益(▲1兆)
リニューアブルパワー
新電力 水力や新エネルギーの販売
卸電力販売が増加したことなどにより増益(84億)
2023年通期予想
2021年 | 2022年 | 2023年 予想 | |
売上 | 5兆8668億 | 530億9900万 | 7兆9310億 |
営業利益 | 1434億 | 462億 | |
経常利益 | 1898億 | 449億 | ▲5020億 |
当期純利益 | 1808億 | 56億 | ▲3170億 |
2023年業績予想は過去最大の赤字予想です。
配当情報
2020年度 | 2021年度 | 2022年度(予想) | |
株価 | 358円 | 370円 | 452円 |
配当 | 0 | 0 | 0 |
一株利益 | 112円 | 3.5円 | マイナス |
配当性向 | 0% | 0% | 0% |
利回り | 0% | 0% | 0% |
原子力発電の事故以降無配が続いています。
この先も賠償金の支払いや公的機関からの返済をするため、無配が続きます。
一株利益(EPS) マイナス予想
キャッシュフロー
営業CF 462億
投資活動CF ▲5597億
財務活動CF 5605億
現金 8618億
トピックス
特別高圧の料金メニュー見直し
企業、工場用の電気料金
2023年4月から市場価格の変動を料金に反映させる制度を導入
燃料価格調整額を再新値に置き換える
電気料金=基本料金+電力料金(単価×使用料)+(燃料価格調整額(増加)
+新設調整額)×使用料
2023年の4月から大幅な電気料金の上昇が見込まれます。
一般世帯でも燃料費調整額の増加から電気料金が上がっています。
関西電力 9503
関西電力は大阪府大阪市に本店を置く地域電力会社です。
大阪・神戸・京都などの大都市圏を含む近畿地方を中心に電力小売事業を展開していることから、売上高は東京電力に次ぐ第2位の規模となっています。
多数の火力発電所と水力発電所に加えて、7基の原子力発電所を所有しており、そのうち5基がすでに安全審査をクリア。
全国で再稼働した原子力発電所の半分を占めるという突出ぶりから、関西電力は「原子力発電所の優等生」と呼ばれるほどです。
こうした強い事業基盤を武器に、電力株の中でも高いPERと配当利回りを実現してきました。
一方で、急激な円安と原油価格高騰を背景に業績が悪化しており、次回決算では経常赤字に転落することが予想されています。
現時点では2023年4月からの電気料金の値上げは検討していないとされている関西電力ですが、今後の動向が注目されます。
企業情報
総資産 8兆8347億
純資産 1兆6783億
時価総額 1兆1312億
発行株数 9億3873万3028株
利益剰余金 1兆871億
有利子負債 7兆1563億
自己資本比率18.4%
営業CF 4103億
現金 4904億
投資情報
出来高 282万6400株
売買代金 34億3600万
約定回数 2259回
信用倍率 2.28倍
指標判断
PER なし
PBR 0.67倍
ROE ▲2.7%
ROA ▲051%
代表株主
大阪市 7% 6828万7千株
自社 4% 4544万4700株
神戸市 3% 2735万1千株
電気会社は地元の官公庁が代表投資家になって
格付け
ムーディーズ A3
JCR AA
R&I A+
業績情報
第二四半期 業績情報
2021年度Q1‐Q3 | 2022年度Q1‐Q3 | 前年増減 | |
売上高 | 1兆9497億 | 2兆7731億 | +8234億 |
営業利益 | 1111億 | ▲1519億 | ▲2630億 |
経常利益 | 1147億 | ▲1777億 | ▲2924億 |
当期純利益 | 735億億 | ▲1247億 | ▲1982億 |
当期純利益は前年比と比べても大幅な減益です。
連結売上高:17,842億円
電灯電力料収入が増加したことなどにより、増収 連結経常損失
△1,118億円(前年同期比 △2,388億円)
電灯電力料収入の増加はあったが、円安・燃料価格高騰、原子力利用率の低下
JEPX (電力取引所)からの調達費用の増加により減益
個別収支比較表
2021年度Q1‐Q2 | 2022年度Q1‐Q2 | 前年増減 | |
収入 | 1兆0357億 | 1兆5005億 | +4647億 |
人件費 | 505億 | 494億 | ▲10億 |
燃料費 | 1694億 | 4425億 | +2731億 |
他社電力購入 | 1232億 | 4360億 | +3127億 |
収入
電力量の増加、燃料費調整額で収入は増加
人件費
人件費を10億削減しました。
燃料費
為替、燃料価格の増加で2731億の増加
他社電力購入
JEPXからの電気購入費が大幅に増加 +3127億
セグメント別営業利益
2021年度Q1から2 | 2022年度Q1から2 | 増減 | |
エネルギー | 740億 | ▲1167億 | ▲1908億 |
送配電 | 137億 | ▲324億 | ▲462億 |
情報通信 | 212億 | 211億 | 0 |
生活・ビジネス | 89億 | 119億 | 30億 |
調整額 | 89億 | 43億 | ▲46億 |
合計 | 1270億 | ▲1118億 | ▲2388億 |
エネルギー事業
販売単価の増加 +230億
販売電力量の増加 +160億
連結経常損益 2388億円の赤字
為替・燃料価格の変動影響 ▲1300億
JEPX調達増 ▲650億
再エネ交付金の減少 ▲290億
送配電事業
需給調整取引(電力量取引) ▲329億
生活ビジネスソリューション
不動産開発 +66億
ホテル事業、海外事業の資産売却など +22億
電力以外の不動産事業のみが利益を稼いでいます。
2023年通期予想
2021年 | 2022年 | 2023年 予想 | |
売上 | 3兆923億 | 2兆8518億 | 4兆500億 |
営業利益 | 1457億 | 993億 | ▲1000億 |
経常利益 | 1538億 | 1359億 | ▲550億 |
当期純利益 | 1089億 | 858億 | ▲450億 |
プラス要因
電力収入の増加
需給調整取引
マイナス要因
円安、燃料価格の高騰
配当情報
2020年度 | 2021年度 | 2022年度(予想) | |
株価 | 1170円 | 1134円 | 1218円 |
配当 | 50円 | 50円 | 25円 |
一株利益 | 122円 | 96円 | ▲162円 |
配当性向 | 40% | 52% | 0% |
利回り | 4.2% | 4.4% | 2% |
業績の悪化から、2022年度期末の配当は未定
来年度の業績に期待です。
貸借対照表
2022年3月 | 2022年9月 | 増減 | |
資産 | 8兆6564億 | 8兆8347億 | +1783億 |
負債 | 6兆9508億 | 7兆1563億 | +2054億 |
純資産 | 1兆7055億 | 1兆6783億 | ▲271億 |
資産
設備投資 1774億
減価償却 ▲1526億
負債
有利子負債の増加 3550億
買掛金 ▲1344億
純資産
利益 ▲763億
配当金 ▲223億
自己資本比率 18%
キャッシュフロー
営業CF 4103億
投資活動CF ▲5326億
財務活動CF ▲3187億
現金 4904億
トピックス
○開発ポテンシャルの大きい洋上風力を中心に、開発推進体制を 強化した上で、積極果敢に再エネ開発に取り組んでいく。
○開発目標として、2040年までに国内で1兆円規模の投資を行い、新規開発500万kW、累計開発900万kW規模を目指す。
電源開発(Jパワー) 9513
電源開発は全国を対象に発電事業と送電事業を展開する電力会社で、小売事業は扱っていないという特徴があります。
所有する唯一の原子力発電所が、建設中に発生した震災の影響をうけて工事休止に陥りましたが、2012年10月には工事が再開されています。
また発電事業のノウハウを活かした、海外コンサルティング事業が各国で高い評価を受けている他、海外の発電事業にも40件以上参画するなど、海外事業がしっかり収益に貢献していることも大きな強みとなっています。
こうした強みを背景に、電源開発は2023年3月決算で増益・増配が見込まれています。
企業情報
業種 電気・ガス
総資産 3兆4234億
純資産 1兆270億
時価総額 3670億
発行株数 1億8305万1100株
利益剰余金 6215億
有利子負債 2兆3114億
自己資本比率 30.8%
営業CF 1283億
現金 2225億
投資情報
出来高 338万2200株
売買代金 70億3千万
約定回数 3594回
信用倍率 1.06倍
指標判断
PER 3.3倍
PBR 0.35倍
ROE 10%
ROA 3%
信用倍率 50倍
代表株主
日本生命 5% 915万2千株
ゴールドマンサックス 2% 487万6千株
JPモルガン 2% 359万9千株
格付け
S&P A
ムーディ A2
R&I A‐
JCR AA+
国内の主な電力販売の流れ
電力資源
炭鉱(オーストラリアから調達)
J‐POWER発電(火力、水力、風力など)
電力販売
全国の電気会社 JEPX(日本卸電力取引所)小売事業者
第三四半期 業績情報
2021年度Q1‐Q3 | 2022年度Q1‐Q3 | 前年増減 | |
売上 | 7095億 | 1兆4015億 | +6920億 |
営業利益 | 639億 | 1615億 | +976億 |
経常利益 | 548億 | 1582億 | +1034億 |
当期純利益 | 403億 | 1110億 | +707億 |
連結売上高増収の主な要因
- 電力販売価格の上昇(国内・海外)
- 石炭販売価格上昇に伴う豪州炭鉱 権益保有子会社の増収
連結営業利益の増益の主な要因
- 石炭価格上昇による豪州炭鉱権益 保有子会社の大幅な増益
- 前期火力発電所の計画外停止解消 による増益
- 米国ジャクソン火力発電所の運転開 始(5月)
- 再生可能エネルギーの販売収入増
連結経常利益の増益の主な要因
上記営業利益増加の要因に加えて、
- 持分法投資利益の増加
- 固定資産売却益の計上
業績情報
セグメント別売上
2021年度Q1から3 | 2022年度Q1から3 | 増減 | |
電力販売 | 5284億 | 1兆449億 | +5165億 |
再生可能エネルギー | 977億 | 1112億 | +135億 |
電力託送 | 363億 | 369億 | +6億 |
海外事業 | 1024億 | 2051億 | +1027億 |
合計 | 7095億 | 1兆4015億 | +6920億 |
【電気事業】
- 火力の販売電力量は増加したが、水力と小売事業者向けの販売電力量が減少したため全体の販売量は微減
- 一方で資源価格上昇に伴う電力販売価格の上昇によって増収
【海外事業】
- 米国ジャクソン火力発電所の運転開始、並びにタイ火力発電会社の電力販売価格の上昇に伴う収入増
【その他事業】
- 主に石炭価格上昇に伴う豪州炭鉱権益を保有する子会社の売上増による増収
セグメント別経常利益
2021年度Q1から3 | 2022年度Q1から3 | 増減 | |
電気事業 | 248億 | 632億 | +384億 |
電力関連 | 109億 | 685億 | +576億 |
海外事業 | 173億 | 264億 | +91億 |
その他 | 7億 | 13億 | +6億 |
合計 | 540億 | 1595億 | +1055億 |
利益増減要因 項目別内訳 前回予想比
①発電事業粗利 ▲15億
・再生可能エネルギー販売収入減少
③海外事業子会社利益 ▲45億
・米国ジャクソン発電所のペナルティ支払い
寒波による発電停止、市場で落札した電源は発電義務を果たさなければならず、ペナルティを受けた
④その他子会社利益/連結調整等 +110億
・豪州炭鉱権益保有会社 販売価格上昇による増益
子会社の業績が好調
⑦為替差損益 ▲15億
・前期差損0→今期差損▲35億
米ドル建債券等の為替評価差益…今期差益+20
円高による為替損益
2023年通期予想
2021年 | 2022年 | 2023年 予想 | |
売上 | 9091億 | 1兆846億 | 1兆8690億 |
営業利益 | 777億 | 869億 | 1710億 |
経常利益 | 609億 | 728億 | 1640億 |
当期純利益 | 223億 | 696億 | 1150億 |
海外事業の成長に伴い売上が右肩上がり
前回よりも業績が好調で、2023年3月期の業績予想値を上方修正
1080億→1150億
- 売上高は、電気事業や海外事業での電力販売価格の増加、石炭価格の上昇による豪州炭鉱権益保有子会社 での石炭販売収入の増加等により増収を見込む
- 石炭価格の上昇によって豪州炭鉱権益保有会社の利益が大幅に増加したこと、米国ジャクソン火力発電所の利 益増が見込まれることから営業利益、経常利益ともに上昇を見込む
利益増減要因 項目別内訳
①発電事業粗利 +20
・再生可能エネルギー販売収入増
②諸費用 +20
・設備保全コストの減…+65
・その他費用の増…▲45
③海外事業子会社利益 +90
・米国ジャクソン発電所の電力販売価格上昇
④その他子会社利益/連結調整等 +390
・豪州炭鉱権益保有会社…+390 販売価格上昇による増益
⑤その他営業外収支 +40
・除却損の減少他
⑥為替差損益
・当初見通しから変更なし (前期差損の解消+75)
配当情報
2020年度 | 2021年度 | 2022年度(予想) | |
株価 | 1760円 | 1810円 | 2094円 |
配当 | 75円 | 75円 | 80円 |
一株利益 | 121円 | 380円 | 628円 |
配当性向 | 61% | 19% | 13% |
利回り | 4.2% | 4.1% | 3.8% |
業績の上方修正がありましたが、配当金については増額はありません。
75円以上の配当を出す方針です。
2021年度、22年度とも配当性向が低く、増配の余地があります。
貸借対照表
資産
2022年3月 | 2022年9月 | 増減額 | |
電気事業固定資産 | 1兆769億 | 1兆689億 | ▲80億 |
海外事業固定資産 | 2713億 | 4625億 | +1911 |
流動資産合計 | 4713億 | 7974億 | +2360億 |
総資産 | 3兆661億 | 3兆4234億 | +3573億 |
負債
2022年3月 | 2022年9月 | 増減額 | |
負債合計 | 2兆1020億 | 2兆3114億 | +2094億 |
利益剰余金 | 5704億 | 6215億 | +511億 |
純資産 | 9198億 | 1兆270億 | +1072億 |
負債合計 | 3兆661億 | 3兆4234億 | +3572億 |
自己資本比率 | 29.9% | 30.8% | +0.9% |
純資産の部
一株純資産 5004円
自己資本比率 30%
キャッシュフロー
営業CF 1283億
投資活動CF ▲1788億
財務活動CF 840億
現金 2225億
トピックス
海外大型プロジェクトの運転開始と新たな開発
2022年は、中長期的に取り組んできた3つの大型海外プロジェクトが商業運転を開始 ・・・トライトン・ノール洋上風力発電所(英国)、ジャクソン火力発電所(米国)、バタン発電所(インドネシア国)
米国での水力発電開発プロジェクトの共同検討、ベトナム国でのバイオマス事業開発の共同検討のほか、タイ国でのガス火力 設備更新プロジェクトへの参画など新たな取り組みもスタート。また、ジャクソン火力発電所の権益を一部譲渡すること
大間原子力発電所計画 22 2014年12月に新規制基準に基づく原子炉設置変更許可申請書および工事計画認可申請書を原子力規制委員会に提出
原子力規制委員会の適合性審査では、基準地震動および基準津波について審議中 2024年後半に安全強化対策工事を開始し、2029年後半に終了を目指す
適合性審査に真摯に対応し、最新の知見を踏まえた安全対策等を着実に実施することで、一層の安全性の向上を不断に追求する 引き続き、地域の皆様にご理解・ご信頼を頂けるように、より丁寧な情報発信・コミュニケーションに努める
電力会社3社比較
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
総資産 | 12兆8535億 | 8兆8347億 | 3兆4234億 |
純資産 | 3兆2504億 | 1兆6783億 | 1兆270億 |
自己資本比率 | 24% | 18.4% | 30.8% |
時価総額 | 7254億 | 1兆1312億 | 3670億 |
格付け | S&P BB+
ムーディ Baa3 R&I A‐ JCR A |
ムーディ A3
R&I A‐ JCR AA |
S&P A
ムーディ A2 R&I A‐ JCR AA+ |
規模的には東京電力が最大です。
財務状況はボロボロですが
J-powerの自己資本比率が高く財務面では財務良好ラインです。
投資情報
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
出来高 | 2359万 | 282万 | 338万 |
売買代金 | 100億 | 34億 | 70億億 |
約定回数 | 3678回 | 2259回 | 3594回 |
信用倍率 | 15倍 | 2倍 | 1.06倍 |
J-POWERの買い残が増え一気に倍率を下げました。
株価の上昇と言えます
1月20日 信用倍率 80倍
指標判断
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
PER | なし | なし | 3.4倍 |
PBR | 0.21倍 | 0.67倍 | 0.36倍 |
ROE | ▲11% | ▲2.7% | 10% |
ROA | ▲2.4% | ▲0.5% | 3% |
J-POWERの割安度は高いです。
東京、関西電力は利益予想が赤字のため指標判断ではマイナス評価です。
2023年業績予想
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
売上 | 7兆9310億 | 4兆500億 | 1兆8690億 |
営業利益 | ▲4880億 | ▲1000億 | 1710億 |
経常利益 | ▲5020億 | ▲550億 | 1640億 |
当期純利益 | ▲3170億 | ▲450億 | 1150億 |
J-POWERのみが今期黒字予想です。
東京電力の赤字額が大きく来年度の電気料金値上げは必然的です。
キャッシュフロー
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
営業 | 462億 | 4103億 | 1283億 |
投資 | ▲5597億 | ▲5326億 | ▲1788億 |
財務 | 5605億 | ▲3187億 | 840億 |
現金 | 8618億 | 4904億 | 2225億 |
配当情報
東京 | 関西 | J‐PAWOR | |
株価 | 452円 | 1218円 | 2094円 |
配当金 | 0円 | 25円 | 80円 |
一株利益 | マイナス | ▲162円 | 628円 |
配当性向 | 0% | マイナス | 13% |
利回り | 0% | 2% | 3.89% |
J-POWERの配当利回りが3.8%あり高配当株ラインです。
今期は業績好調でしたが、増配発表はありませんでした。
他の2社は業績が赤字のため、配当金が望めません。
電力会社の今後
今期は、円安や原油価格の高騰などにより、電力各社の決算は軒並み赤字に転落している状況です。
電力会社は今期電気を売れば売るほど赤字が増加していました。
各社が節電をよびかけていたのはそのためです。
こうした厳しい事業環境を受けて、主要電力各社は2023年4月以降の電気代の値上げを計画しており、経済産業省に申請済となっています。
各社が値上げ申請したことで業績改善に期待感がでています。
電力は社会の重要インフラであるため、政府による規制が強い分野となっています。
電気料金の変更に政府の認可が必要であるなど経営の自由度が低く、株価が政策に左右されやすいという側面があります。
東京電力
原発の賠償金の支払いが終わるまで、この先もほぼ無配
高配当株投資に不適格
短期売買をする銘柄
関西電力
原子力が稼働しており、資源価格の影響が限定的だった。
エネルギー問題以前は黒字を出していた。
利回りが高く高配当株投資の候補だった。
電源開発(J-POWER))
電気の発電、送電のみをしているため、政府の影響を受けません。
電力会社の中で唯一黒字をだしています。
利回りが4%程度あり投資候補
現状、各地域の電力株に投資しない方が懸命です。
電力料金上乗せで業績が好調になれば投資検討をしましょう。
電力株の特徴
- 安定&高配当の代表格であったが、東日本大震災以降は沈み気味
- 為替や資源価格によって業績に影響がでる
- 原発リスクが甚大
- 電気料金は政府がコントロールしている
- 参入障壁がありほぼ独占状態
- 電気需要はこの先も無くならない
投資比率を決め、リスク過大にならないように注意
原子力発電所事故のような大きな事故の際には株価が暴落した経緯もあるため、注意が必要です。
参考資料
電力会社は資源価格と為替の影響を特に受けます。
現状の資源価格を見てみます。
日本では。福島第一原発から一転して火力発電をメインに電力を作っています。
電気料金が上がり続けている、資源価格や為替の推移を見てみます。
発電に資源割合
天然ガス 37% 石炭 31% 石油 7%
2020年 | 2021年 | 2022年9月~10月 | 2022年1月 | |
石炭 | 65ドル | 208ドル | 430ドル | 359ドル |
天然ガス | 8ドル | 10ドル | 23ドル | 19ドル |
為替 | 109円 | 105円 | 149円 | 129円 |
石炭
2020年と比べて高い時で7倍の上昇です。
脱炭素から積極的な投資が行われおらず生産量が増えていない。
発展途上国では、クリーンエネルギーが普及しづらく、火力発電が優先
新型コロナウイルスからの経済回復で電力需要が伸びた
産出国ロシアからの輸出が経済制裁でできない。
天然ガス
2022年から取引価格は上がりましたが、石炭と比べると大幅な上昇ではありません。
為替
世界中でインフレを抑えるため利上げを行っていましたが、日本では利上げを行わず相対的に利子がつかない円が売られ円安となりました。
現在は、日銀の利上げ発表を行い、円安が解消されつつあります。
よって今回の電力料金の上昇は石炭価格と大幅な円安が影響しました。
現在は石炭、為替と下落傾向でピークダウンした印象を受けます。
補足事項
大手電力会社を通さない新電力が人気を集めていました。
大手電力会社より電気料金が安いのがメリットです。
しかし、今回の円安や石炭価格の上昇より電力の仕入れコストが上がりました。
政府の認可が必要ないので大幅な値上げを行い、現在では解約が続き大手電力会社に戻しています。
新電力会社は卸売価格に左右されるのがデメリットです。