コロナを期に大打撃を受けたホテルリートの状況を解説します。
インヴィンシブル投資法人
用途別投資割合
ホテル 92.6% 住居 7%
若干の住居を持つホテル特化型リート
海外にあるケイマン諸島のリゾートホテルも保有しています。
ホテル 92物件
宿泊特化型 44%
リゾートタイプ 26%
フルサービス型 29%
宿泊特化型の比率が多く、宿泊料金の安いビジネスホテルなどに重点をおいています。
住居 41物件
地域別 全国に投資ホテルを持つ
東京23区 25%
九州 15%
北海道 12%
首都圏(23区除く) 12%
中部 11%
海外 7%
関西 7%
稼働率 80%
格付け JCR A(ポジティブ)
平均築年数 28年
指標判断
NAV倍率 1.02倍 割高
FFO倍率 32倍 割安
NOI利回り 6% 高い
財務状況
総資産 4968億
負債残高 2391億
自己資本比率 51%
LTV 49%
借入金利 0.46% 借入金利は低いです。
含み益 1204億
現金 183億
決算情報
22年12月 | 23年6月 | 23年12月 予想 | |
営業収益 | 119億 | 159億 | 177億 |
営業利益 | 62億 | 103億 | 112億 |
当期純利益 | 50億 | 89億 | 95億 |
23年6月期はホテルの業績回復により大幅な増収増益。
営業収益は対前期比で33%増加の159億円
当期純利益も95億円と予想
固定賃料は、原契約に戻り、変動賃料、ケイマン諸島のホテルが増収
23年12月予想では、変動、固定賃料の増加により、さらなる増収増益を予想 +31億
新規取得ホテルによる賃料の増加 +22億
中国人の団体旅行解禁に伴う、需要回復次第ではさらなる上方修正に期待
分配金情報
22年12月 | 23年6月 | 23年12月 予想 | |
投資口価格 | 48,100円 | 58,000円 | 61,200円 |
分配金 | 832円 | 1464円 | 1441円 |
利回り | 1.7% | 2.5% | 2.3% |
分配金情報
23年6月期は、1口当たり分配金は対前期比76%増の1,464円
宿泊者が増加しコロナ以前の水準に戻ってきました。
現在投資を行えば利回り年4.6%が期待できます。
また、取得ホテルの増加、さらなる外国人旅行者の需要があり分配金も増加する可能性があります。
今後の見通し
◼ 国内のビジネス需要は、オンライン会議の普及等による出張減の要素はあるものの、コロナ以前の水準に回復する見通し
◼ 国内のレジャー需要については、全国旅行支援による需要増からの一時的な反動減が予想されるものの、大きな増減はないと予想
◼ インバウンド需要全体については、2024年2月ごろに2019年水準に回復すると想定。中国については、2024年春~夏にかけての回復を見込んでおり、以降1年間は蓄積された潜在需要が顕在化すると予測
◼ 人員確保に大きな問題は生じていない。 「成田・ホスピタリティ・アカデミー」を開講し、自ら多様性のある人材も育成
ジャパンホテルリート投資法人
日本最大のホテル特化型のリート
日本の有名なホテルに投資している。
ヒルトンオリエンタルホテル、シェラトン日航ホテルなどのブランドがあります。
なお、このリートのみ決算は12月にあり、分配金は12月に一回だけです。
資産規模 3739億
物件数 43物件
稼働率 79%
対象地域
東京圏46%、大阪13%、福岡5%、北海道3%、沖縄11%
東京圏を中心に都市圏を投資対象としている。
タイプ別
リミテッドサービスホテル 32%
ビジネスホテルのことで宿泊特化型サービスのことです。最低限の泊まるためのホテルなので宿泊費が安いのが特徴です。
フルサービスホテル 46%
リミテッドホテル以上のサービスがあるので、値段は少し高めです。
メインターゲットはビジネスマンや観光客です。
リゾートホテル 20%
フルサービスホテルの特徴を持ち、リゾート地(観光地)にあります。
メインターゲットは観光客です。
格付け
JCR A+(安定的)
R&I A(安定的)
指標判断
NAV倍率 1倍 標準
FFO倍率 46倍 割高
NOI利回り 5.5% 高い
財務状況
負債残高 1645億
借入金利 1%
含み益 1279億
現金 227億
LTV 44%
平均築年数 25年
決算情報
21年12月 | 22年12月 | 23年12月 予想 | |
営業収益 | 136億 | 149億 | 249億 |
営業利益 | 29億 | 42億 | 132億 |
当期純利益 | 12億 | 26億 | 114億 |
ジャパンホテルリートは年1回の決算情報のみです。
23年12月予想では、固定賃料 +2億 変動賃料 +26億の増加を見込む。
当期純利益も前年比約4倍の114億円の予想です。
ホテルマーケットの回復を背景とした変動賃料の増加により当初予想を上方修正
分配金は当初予想比30%強増加し、コロナ禍前の2019年比7割強の水準を見込む
分配金情報
21年12月 | 22年12月 | 23年12月 予想 | |
投資口価格 | 56,200円 | 77,500円 | 78,200円 |
分配金 | 366円 | 682円 | 2652円 |
利回り | 0.6% | 0.8% | 3.3% |
年1回の分配金のみです。
コロナにより宿泊者の減少から利回りも0%台でした。
今期は大幅な業績の回復により、分配金もコロナ前の水準に戻りました。
今後の予想
2022年10月に入国制限が大幅に緩和されて以降、インバウンド数は回復傾向
2023年7月にはインバウンド全体で2019年同月比77.6%の水準まで回復。中国の旅行制限緩和による更なる回復を期待
いちごホテルリート投資法人
いちごグループが展開しているリートの一つです。
心築を軸にした宿泊特化型ホテルリートです。
(泊まる事のみを目的にしていて、宿泊料金が安い)
物件数 30物件
投資対象地域
東京 13% 大阪 18% 中国・四国 13% 東海13% 京都6% 関東甲信越 13% 北海道 12% 九州 5%
日本全国を投資対象。
稼働率 84.6%
指標判断
NAV倍率 0.87倍 割安
FFO倍率 34倍 割安
NOI利回り 5.6% 高い
財務状況
負債残高 324億
借入金利 0.77%
残存期間 1.1年
LTV 43%
含み益 4億
現金 16億
平均築年数 27年
業績情報
23年1月 | 23年7月 | 24年1月 予想 | |
営業収益 | 15億 | 17億 | 20億 |
営業利益 | 7億 | 9億 | 10億 |
当期純利益 | 5億 | 7億 | 7億 |
全国旅行支援、インバウンド旅行者急増により好調
保有ホテルの業績は前年同期比約1.5倍の成長
変動賃料の導入により、さらなる収益の拡大を図る
分配金情報
23年1月 | 23年7月 | 24年1月 予想 | |
投資口価格 | 108,000円 | 109,900円 | 117,200円 |
分配金 | 2240円 | 2831円 | 2246円 |
利回り | 2% | 2.5% | 1.9% |
いちごホテルリートは、固定賃料の収入があり他のホテルリートよりも分配金がでていることは評価できます。
24年予想では、5つのホテルを取得するため、増資を実施
投資口が増えた事で、分配金が低下
→次の24期7月予想では、取得したホテルの収益が加算され、23年7月と同水準になる予想
ホテルリート比較
規模状況
インヴィンシブル | ジャパンホテル | いちごホテル | |
資産規模 | 4968億 | 3739億 | 753億 |
負債残高 | 2391億 | 1645億 | 324億 |
LTV | 49% | 44% | 43% |
稼働率 | 80% | 79% | 85% |
築年数 | 29年 | 25年 | 27年 |
資産規模ではインヴィンシブルが他のリートを圧倒しています。
全体的にホテル稼働率は8割まで回復しており、今後さらに稼働率の増加が見込まれます。
財務状況
インヴィンシブル | ジャパンホテル | いちごホテル | |
借入金利 | 0.46% | 1% | 0.77% |
NOI利回り | 6% | 5.5% | 5.6% |
含み益 | 1204億 | 1279億 | 4億 |
現金 | 183億 | 227億 | 16億 |
リートは銀行から多額の融資を受けているため、借入金利が低いほど、手残りが大きく、金融機関から評価されています。
NOI利回り=年間の営業純利益÷不動産価格
利回りが高いほど物件収益力が高いと評価できます。
ジャパンホテルの含み益が大きく、物件売却時は分配金+売却益が期待できます。
ジャパンホテルの現金が高いです。
物件購入をする時に、手元のキャッシュ、金融機関からの融資、増資で物件を購入するので、現金が多いほど、物件購入する体力があると判断できます。
投資利回り
インヴィンシブル | ジャパンホテル | いちごホテル | |
投資口価格 | 61200円 | 78200円 | 117200円 |
分配金 | 2882
円 |
2652円 | 4492円 |
利回り | 4.6% | 3.3% | 3.8% |
コロナを期に分配金がほぼでていない状況でしたが、見事に復活しました。
コロナ禍にホテルリートを購入していた人は大幅な含み益状態となっています。
分配金もまだ、増加する余地があるので利回りの上昇も期待できます。
ホテルリートの強み
分配利回りが高い
→経済が好調な時は、収益性が高いです。
コロナが5類になった事による、規制緩和で、宿泊、レジャー、インバウンド需要が増加
業績の大幅な上昇により、分配金も増加
まだコロナ前より回復仕切っていないので、さらなる業績の上昇が見込まれる。
ホテルリートに投資する上での注意点
コロナや経済不安などが起これば、ホテルリートは真っ先にダメージを受けます。
コロナ禍の時には外出自粛などがあり、分配金も出ず壊滅的なダメージを受けました。
ハイリスク・ハイリターン
ホテル経営は外部影響を受けやすい
収入がなければ返済を行う事ができず、物件を売るしかない。
投資する場合は資産に対する比率を決めて投資を行いましょう。
分配金が出ない、損切ライン、投資口価格の下落リスクを織り込んで投資をしましょう。