日本製鉄 5401
日本最大の鉄鋼メーカー
製鉄事業、エンジニアリング事業、化学事業、システムソリューション事業(非鉄3社)を有する。
キャッチコピー
総合力世界NO1の鉄鋼メーカーへ
日本の代表的鉄鋼銘柄として、
日本鉄鋼、JFE、神戸製鋼などがあります。
主要取引分野
自動車 3割 土木・建築 4割
造船、エネルギー、家電、容器 3割
自動車、土木・建築関係の業績によって影響を受けやすい
業績が悪いと鋼材が売れないため
企業情報
業種 鉄鋼
総資産 9兆3189億
有利子負債 4兆9129億
純資産 4兆4059億
自己資本比率 47%
時価総額 2兆5958億
発行株数 9億5032万1402株
利益剰余金 2兆8087億
営業CF 6156億
現金 5510億
剰余金 2兆8749億
投資情報
出来高 3044万3400株
売買代金 820億9800万
約定回数 40975回
信用倍率 3.86倍
信用倍率が低く短期的に株価が上昇する可能性があります。
指標判断
PER 3.8倍
PBR 0.64倍
ROE 17%
ROA 7%
割安銘柄です
代表株主
自社 5243万6900株
住友商事 1014万9千株
三菱UFJ銀行 955万8700株
住友商事と三菱UFJ銀行が新規の大株主になりました。
格付け
S&P BBB
ムーディーズ Baa2
R&I A+
JCR AA-
多くの格付け会社から評価されている。
業績情報
第三四半期 業績情報
2021年度Q1‐Q3 | 2022年度Q1‐Q3 | 前年増減 | |
売上 | 4兆9424億 | 5兆9616億 | +1兆192億 |
営業利益 | 7281億 | 7618億 | +337億 |
経常利益 | 7097億 | 7482億 | +385億 |
当期純利益 | 5078億 | 5171億 | +93億 |
売上が増えましたが、原材料の高騰で利益は前年比と同水準となりました。
営業利益率 12.35%
利益進捗率 77%
上期実績連結事業利益︓5,417億円(過去最高益)
東アジア鉄鋼メーカーと比較しても相対的に強固な収益基盤を構築
実力ベース連結事業利益の構成
2021年度Q1‐Q2 | 2022年度Q1‐Q2 | 増減 | |
製鉄 | 4482億 | 5158億 | +676億 |
エンジニアリング | ▲29億 | 53億 | +82億 |
ケミカル&マテリアル | 135億 | 136億 | +1億 |
システムソリューション | 146億 | 140億 | ▲6億 |
調整額 | 43億 | ▲71億 | ▲114億 |
合計 | 4778億 | 5417億 | +639億 |
本体製鉄事業で一定の収益を確保するとともに 海外事業・原料権益・鉄・非鉄グループ会社の堅調な利益により 実⼒ベース連結事業利益6,300億円の達成を図る
国内鋼材需要
2014年→2022年 約15%減
需要は減っていますが、売上は増加しました。
鋼材価格を引き上げたため
今後の需要回復、中国の景気刺激対策効果、減産動向等を注視
中国︓厳格なゼロコロナ政策、⻑引く不動産市場低迷により経済停滞、需要回復の目途が⽴たない状況
米国︓インフレ抑制を優先、住宅市場等で利上げの影響が顕在化
欧州︓冬を迎える中でのガス供給懸念、エネルギー価格高騰等インフレにより経済が急減速 新興国︓資源エネルギー高・ドル高により外貨準備高減少
2023年通期予想
2021年 | 2022年 | 2023年 予想 | |
売上高 | 4兆8292億 | 6兆8088億 | 8兆 |
営業利益 | 113億8100万 | 8409億 | なし |
経常利益 | ▲86億 | 8165億 | なし |
当期純利益 | ▲324億 | 6373億 | 6700億 |
2022年10月から23年3月にトヨタに支給する鋼材価格を1トンあたり4万円引上げることで同意
よって、売上、利益の増加を期待できます。
背景には、原油価格の高騰などがあり値上げを交渉
海外事業も4割程度あるため、為替の影響をあまり受けません。
配当情報
2020年度 | 2021年度 | 2022年度(予想) | |
株価 | 1877円 | 2273円 | 8899円 |
配当金 | 10円 | 160円 | 180円 |
利回り | 0.5% | 7% | 6.2% |
一株利益 | ▲35円 | 692円 | 727円 |
配当性向 | マイナス | 23% | 24% |
コロナ禍の時には赤字を出し、配当金もほとんど出ませんでした。
世界の需要回復、鉄鋼価格の引上げにより業績が好調になり
高い配当金を出しています。
前回公表内容から20円増額し、1株につき90円に増配
中間配当としては過去最高
2015年から配当性向を30%に引き上げ
貸借対照表
自己資本比率 42%
剰余金 2兆8087億
キャッシュフロー
営業CF 6156億
投資活動CF ▲3788億
財務活動CF ▲613億
現金 5510億
構造改革の内容
日本製鉄は低利益の脱却するため、抜本的な構造改革を行いました。
外部環境によらず安定的に実力ベース6000億円以上の収益を確保する構造を構築
5本柱の事業構造で安定した収益力を確保
非鉄 500億
鉄グループ会社 1000億
原料権益 1000億
本体海外事業 1000億
本体国内製鉄事業 2500億
損益分岐点の引き下げ
固定費を削減し、損益分岐点を改善させます。
生産性の低い広島県呉市製鉄所閉鎖
生産力の低い高炉などを廃炉にしコストダウンをしていく。
海外の赤字事業も整理していく
中国大手鉄鋼メーカーとトヨタを特許侵害で訴える
特許を守るため、部品を供給した中国メーカーと自動車に使用したトヨタを訴えました。
日本製鉄とトヨタは創業当時から付き合いがある関係です。
トヨタに対し鋼材価格の引上げを行った。
鋼材価格1トンあたり4万円に引き上げ
過去最大の値上げ
国内の建設用鋼材価格を3カ月ごとに見直す。
従来は5カ月ごとに見直しを行っていた。
鋼材価格の上昇により赤字取引を少なくするため
原料~製造~流通 一巻事業構造の構築
日鉄物産を子会社化
販売網を通して売るより、自分たちで売る。
収益力を強化する。
人口が増加しているインドに投資をしていく
インドを成長の軸として捉え
1兆円規模の高炉2基を新設し収益力を高める。
高付加価値商品のウエイトを上げる
カーボンニュートラルに向けた商品を作る
EV車等のモーター、自動車の軽量化
汎用品の生産を20%削減
低採算輸出のビジネスモデルからの脱却
従来の業績を変える改革を行いました。
鉄鋼業界の特徴
巨額の投資を行われなければならず参入障壁が高い
鉄鉱石、石炭価格の取引価格の影響を受ける。
自動車や建築会社の影響を受けやすい
業績が悪いと鋼材が売れないため
懸念事項
原材料価格の高騰
→原材料の高騰分を価格に転嫁できなければ業績が落ちます。
世界の鉄鋼需要減少
カーボンニュートラルの時代になり、粗鋼生産量が3割減少
数量に頼らない収益構造を構築
鉄の値段を上げていく
CO2を大量に放出しているため、投資家から株価が上がりづらい
景気の影響を受けやすい
景気が悪いと自動車や建築関係に使う鉄が売れないため
アメリカ インフレを抑えるため、金利上昇圧力による景気失速懸念
ヨーロッパ エネルギー価格沈静化、インフレ緩和による景気悲観
中国 ゼロコロナ政策転換による景気への影響が未知数
物価上昇と⾦融引締め、ウクライナ侵攻の⻑期化等の影響で、世界経済は減速しているが、昨秋よりはやや上方修正。
2023年は先進国の成⻑率が鈍化する中で⽇本は、1.8%と底堅さを維持。
最大の鉄鋼需要国である中国と、ウクライナ侵攻の影響が大きい欧州で減少。
投資比率は必ず決めましょう!